2008年09月06日 06:37
2007年09月29日 15:00
☆『向日葵、無残。』掌編寄稿・風友仁
まだ、その花が咲き誇るには早過ぎた。
八分咲きにもほど遠い。
つぼみのままで流れてしまった・・・。
長雨と雷雲が重なり合って、九州地方は未曾有の惨事を舐めた。ありもしない地平に湖は生まれ、濁流となって人々を飲み込んでゆく。
窓辺越しの、向日葵の幹。それはお隣のものであったが、折りからの豪雨を受け、左へ右へとしなっていた。いまにもぷつりと折れそうに感じられ、そんな、その日の土曜日のこと、僕は自室でひとり、そんなこんなを本当のところは憂うこともせず、彼女ばかりを想っていた。
彼女には子もあった。別れたばかりの彼女とその子供たちの安否を気遣うメール、僕はそれを彼女に送ろうかどうか、思案していたのだ。躊躇、する。いや、安否というよりも激励?・・・いや、この言葉もおかしい・・・編み、送信するばかりの段になって、僕はことをやめた。
「返信は要らないよ。
ひどい雨だね。子供たちもきっと今度ばかりは、
脅えていることだろうね?
君たちのことが心配だけれど、
僕が君たちのところへゆくことは、
大きなお世話だろうから、よすよ。
明日には、雨もあがると言う。
きっと、この一晩のことだろう。
君も、ちょっと心細いだろうけれど、
子供たちを守ってほしい。
僕は、心から君たちのことを祈ってるよ。」
そう、打ち込んで結局、送信しなかった。
雨は、翌朝には小康状態となり、僕は同じ街に住む姉貴たちのことも気になって、車で駆けてみると、道ゆく道は無く、しかたないとばかりに歩んで行くことにした。ゆかるんだ家財道具が、庭一面を覆いつくしている、家屋。畳みらしきと想われるへの字に折れ曲がった、それら惨状。あそこの家も傾いている。泥土がへばりつく、いずこは白壁だったろう場所。壊れかけたドアー。濁流で、きっと跡形も無い畜産倉庫。TVだろ、冷蔵庫だろ、洗濯機に、洗面台、タンスだろ、CDプレーヤー、パソコン、家具調こたつに、掃除機だろ?、もう、どれもこれもが砂塵の荒野を踏みしだくかのように、僕のこころに自然の脅威の怖ろしさを代弁しているかのように、厭がうえにもはかなさを投げかけてくる。
皆、押し黙り、暗い顔のまま、泥土をはらっていた。
が、そのときだった。僕は、判然とある想いを抱き、すぐさま飲み込んだのだ。
僕にはやっぱり、いまだに見えていない。
まさに被災地の、今にも流されゆく人々の声無き声を、昨夜、僕は聞いたか?
聞こえはしない。僕が考え付いたのは、彼女のことと子供たちのことばかり。
これが、彼女が嫌った僕の欺瞞だったろうか?偽善だったろうか?
これが僕の歪んだ情念、想念・・・信念、愛情?。
それが君が遂に信じきれなかった、僕の気遣い、というものだろうね?
天井にまで被った土砂を振り落としてみたり、地軸の動いた木造車庫をようやく、その体裁にもどしたりと、僕はその日の半日を姉貴のうちで過ごし、くたびれた足で自宅へと帰ってきた。そこには、いまでもひとりである。どっと疲れがでて、また降り出した雨を見つめつつ、僕は寝た。夜半に目が覚めた。見やると、窓辺越しに、あの向日葵がくず折れていた。茎だけのありようが、雨にそぼふる街灯に映えている。
まだ、その花が咲き誇るには早過ぎた。
八分咲きにもほど遠い。
つぼみのままで流れてしまった・・・。
長雨と雷雲が重なり合って、九州地方は未曾有の惨事を舐めた。ありもしない地平に湖は生まれ、濁流となって人々を飲み込んでゆく。
窓辺越しの、向日葵の幹。それはお隣のものであったが、折りからの豪雨を受け、左へ右へとしなっていた。いまにもぷつりと折れそうに感じられ、そんな、その日の土曜日のこと、僕は自室でひとり、そんなこんなを本当のところは憂うこともせず、彼女ばかりを想っていた。
彼女には子もあった。別れたばかりの彼女とその子供たちの安否を気遣うメール、僕はそれを彼女に送ろうかどうか、思案していたのだ。躊躇、する。いや、安否というよりも激励?・・・いや、この言葉もおかしい・・・編み、送信するばかりの段になって、僕はことをやめた。
「返信は要らないよ。
ひどい雨だね。子供たちもきっと今度ばかりは、
脅えていることだろうね?
君たちのことが心配だけれど、
僕が君たちのところへゆくことは、
大きなお世話だろうから、よすよ。
明日には、雨もあがると言う。
きっと、この一晩のことだろう。
君も、ちょっと心細いだろうけれど、
子供たちを守ってほしい。
僕は、心から君たちのことを祈ってるよ。」
そう、打ち込んで結局、送信しなかった。
雨は、翌朝には小康状態となり、僕は同じ街に住む姉貴たちのことも気になって、車で駆けてみると、道ゆく道は無く、しかたないとばかりに歩んで行くことにした。ゆかるんだ家財道具が、庭一面を覆いつくしている、家屋。畳みらしきと想われるへの字に折れ曲がった、それら惨状。あそこの家も傾いている。泥土がへばりつく、いずこは白壁だったろう場所。壊れかけたドアー。濁流で、きっと跡形も無い畜産倉庫。TVだろ、冷蔵庫だろ、洗濯機に、洗面台、タンスだろ、CDプレーヤー、パソコン、家具調こたつに、掃除機だろ?、もう、どれもこれもが砂塵の荒野を踏みしだくかのように、僕のこころに自然の脅威の怖ろしさを代弁しているかのように、厭がうえにもはかなさを投げかけてくる。
皆、押し黙り、暗い顔のまま、泥土をはらっていた。
が、そのときだった。僕は、判然とある想いを抱き、すぐさま飲み込んだのだ。
僕にはやっぱり、いまだに見えていない。
まさに被災地の、今にも流されゆく人々の声無き声を、昨夜、僕は聞いたか?
聞こえはしない。僕が考え付いたのは、彼女のことと子供たちのことばかり。
これが、彼女が嫌った僕の欺瞞だったろうか?偽善だったろうか?
これが僕の歪んだ情念、想念・・・信念、愛情?。
それが君が遂に信じきれなかった、僕の気遣い、というものだろうね?
天井にまで被った土砂を振り落としてみたり、地軸の動いた木造車庫をようやく、その体裁にもどしたりと、僕はその日の半日を姉貴のうちで過ごし、くたびれた足で自宅へと帰ってきた。そこには、いまでもひとりである。どっと疲れがでて、また降り出した雨を見つめつつ、僕は寝た。夜半に目が覚めた。見やると、窓辺越しに、あの向日葵がくず折れていた。茎だけのありようが、雨にそぼふる街灯に映えている。
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サンタさんはプレゼントを運ばれましたか?
うちは待ち焦がれるあまり夜中に目覚めてしまい、サンタさんは慌てて隠れ、逃げました、笑。
偽クリですけitu:kairou『ソープの葵』物語稿2・美城丈二僕なりの思いを込めた・・・“在りし日の恋愛譚”となることでしょう。最終章まで構想は出来上がっております。私なりに少しずつ、書き連ねてまいろうと思います。度々のコメント、誠に嬉しい限りです。美城丈二『ソープの葵』物語稿1・美城丈二こちらこそ、初めまして。 mijyuさん、ようこそ、コメント返しが遅れ、大変、恐縮致しております。男性です(笑)。私の文章が読み易いとのことで、奇特な方もおられるのだなあ、と感じ入ってもお美城丈二『ソープの葵』物語稿2・美城丈二まだわからないですね^^;先が読めませんね、三話まで呼んだけれど、先が見えないと言うか。ちょっと話しが飛んでいるのでしょうか?ともかく、次が楽しみです。mijyu『ソープの葵』物語稿1・美城丈二初めまして初めまして。桃さんのトラコミュからやってきました。男性の方ですか?真珠、美珠、などの名前を使っております。まださわりですが、読みました。主人公の男性の追憶から物mijyu掌編稿『東京』中原は私に、良くも悪くも過去へといざなう詩人特有の哀惜感を有した作家だと感じております。そろそろ私もこの位置から逸脱すべきときが来たのではないか・・しばし思案な美城丈二掌編稿『東京』こんばんは、美城さん。こちらでも、もう鶯が鳴いています。例年より、早いようで、ダイアリーを見ると、2月19日が初鳴きだったようです。UPしてある、写真で気付いたの幸田回生