永遠を焦がれるままに。A writer;美城丈二Another face綾見由宇也
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『恋闇』物語稿1・美城丈二
2006-11-08 Wed 09:25
 物語稿『恋闇(こいやみ)』
  1
 タレント・仮屋園信司(かりやぞのしんじ)は、この四月から、ある某在京TV局の、朝の帯番組のメーン司会者に抜擢された。そこそこに売れ出した矢先の起用で、いわば古くからの縁故であったプロデューサーの肝いりでことはそう、なったわけだけれど、関係各位は彼の起用に一抹の不安をみな、抱いていた。
 なにしろ総じて、見た目的な印象が暗いのである。剛毛でボリュームのある髪、それらが顔半分を覆いつくしており、きりりとした痩せぎすの顔立ちから、訥々(とつとつ)としたコメントが発せられる。つんと伸びた眉、一重で切れ長の双目(ふため)、すぅーと鷲鼻そのものともいうべき鼻筋、そうして大きく、まるで子供の頃に流行った口裂け女のように上へ上へと広がる口、これらは全国の視聴者に朝の憩いのひと時を送らねばならぬ番組上の嗜好としては、やはりあまりにも不具合に想われたからだ。だが、世情とは面白いもので、番組前に名うてのヘアーデザイナーに陰影良く整わされたわけでもなかろうはずなのに、その訥々としたコメントがまぁ、的を得ているとして、概ね好印象と評判をとった。事実、番組に寄せられる視聴者の声なるものはなかなかで、彼を押したプロデューサーもほっと胸をなでおろした次第ではある。
 この場合、彼を救ったのは、そのタレントになる以前の、この国内最高学府の大学在籍中であったという素地、教養というものであったろうけれど、貧しき青春時代を受け、はっきりと「悪は悪」と糾弾するかのようなコメントの数々も、彼には追い風となった。時に、その発言の数々は関係者をひやりとさせるものもあったけれど、視聴率は日増しにぐんぐんと上がり、いまでは高視聴率層で安定、彼の名も一躍、全国に轟くこととあいなった。
 実際、もっともその胸なでおろしたのは、他でもない彼のはずで、ひょんなことからタレント業なる浮世の仇花的仕事に就いた彼としても、朝のワイドショー、その総合司会なるもので、勇躍名を馳せるなら本望、そこで売った顔というやつで、この先、なんとでも転進出来ようから、まずは首尾は上々、出方はどうとでも、売れればそれで良し、とばかりに、彼も柔らかい息を遂に吐くことが出来た。
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