永遠を焦がれるままに。A writer;美城丈二Another face綾見由宇也
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『恋闇』物語稿3・美城丈二
2006-11-09 Thu 17:22
 物語稿『恋闇(こいやみ)』
  3
 君枝特有の含みを帯びた言い様。
 「変な趣味、嗜好があるという噂だ」
 「変な趣味、嗜好って?」
 「その小説を地でゆくかのような男色趣味」
 「まじ、かよ?」
 「ああ、まじさ。俺はまぁ、そういう人間性に関わる非難はどうかよ?とは想うが、まぁ、どういう形であれ、逢うのなら気をつけた方がいい」
 そんなこんなの言い草の君枝にしても、彼は二十歳(はたち)そこそこ、文壇では新人登竜門の雄とも謳われた『久下賞』を、受賞し、いまどき珍しい文壇批判をその後、ふんだんに各派文芸雑誌で披瀝した、過去経歴の持ち主だから、仮屋園信司にしても、またかという想いの方が強い。ちなみに君枝はその後、如才無く、まぁ、何食わぬ顔でそれら文芸雑誌に差し障り無く、小説を公表し続けているから、その口の方も達者とは言い得るだろう。
 「それよりか、きっこちゃんとは上手くやってるのか?」
 「フフッ。なんだよ。いきなり切り込むね。きっことは上手くやってらあ」
 「嘘付け!この前、そのきっこに逢ったぞ」
 「・・・逢ったって?どこで?」
 「ハハッ。お前らしい。すぐ、そう、むきになる。新宿の雑誌社だけどな。この頃、お前があんまりにもつれないんですって嘆いていたよ」
 きっこは、彼の幼馴染で、いまや全国区の彼にしてみれば、視聴者層に知られたくは無い、彼のそれこそ過去をよく知る異性だ。彼は話しが、文壇先生から痴話話へと移行したのを幸い、いい加減に言葉を見繕って電話を遮断、した。君枝はまた、仲間内でも有数の「語り屋」として知られてもいたから、とにかく用件が用件だけに終わらない性質だから、さっさとその用件が済めば受話器を置くのが宜しい。
 さて、文壇先生、どう、出てくるや・・・?
 なんだかんだとそう、は言いながら君枝のうんぬん、一了見を聞き込んで、彼はその心根、ひと悶着、した。
 収録の前か、あとか、何か言い募ってくるのか?
 彼は、実際はまったくもって気弱な男であった。
 君枝はただ、あまりに急激に売れ出した彼、仮屋園信司を、「ちょいとからかってやろう」ぐらいにしか想っていず、その噂も飽くまでも創造の域に過ぎないかも知れぬのに。
 その夜の彼は頻りに物想いに囚われ、翌朝、白む霧もやが眩いばかりに感じられた。
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