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2008年07月24日 23:39

『ソープの葵』物語稿2・美城丈二

2007年05月11日 18:28

 生木と違って枯れ草は、よく燃える。当時の葵の心境は多分、その若き美貌とは裏腹な枯れ草の胸中?、僕は僕で困ったことに葵に逢うなり一辺で火が付いたほどに、好みとはかくも神の配剤を呼ぶものか、と想えるほどの燃えよう、生まれついての運命(さだめ)かと想うほどの、ひとめぼれだった。
 更に困ったことに、その葵との遭遇の場所こそは、くどいけれど池袋の北口の百五十m先、みーくん懇意の「ソ−プ楽園」。ただ運命の出逢いとは傍が想うほどに意気?、衝動的?、驚愕?、鮮烈?、それこそ運命的だなどと呼べるほどのものではないらしい。あっさりとその時は訪れた。
 「葵?、おまえ、なんで、こんなところで働いてるんだ?」
 無碍で、野暮、葵への想いが高まるままに、僕はそんな問いかけを呟いてしまっていた。
 「・・・よくある質問やね」
 彼女は、ほくそ笑むで無し、優しい微笑を湛えて、その答えを濁した。
 「仕方が無いんよ。こうでもしなきゃやってけんもん」
 何故、やってけんの?
 あの時、僕は後ろ背を見せた葵に、それ以上の詮索を向けることが出来なかった。
 だが、僕の葵への想いは、独り寝の夜を焦がすほどに息苦しさを増幅させていった。まるでそれは姿身(かたち)だけから入っていった恋、とは言い難いほどに。
 してはいけない、恋なのか!?
 募ってはならない、恋なのか!?
 想えば、あの頃、僕はよく葵の夢を見た。
 けっして良い、目覚めの軽い夢では無かった。
 彼女にとっては僕は一客人、に過ぎなかった。
 意識がそこに落ち着く度に、僕は僕に自制のこころを植えつけようとする。
 僕は、どこにでもいる、普通の常識に囚われた若者でしか無かった。寒さでかじかんでいるにも関わらず、見てくれが悪いからと、その着こなしにそぐわないマフラーを纏(まと)うことを拒む青年のように。僕は平凡で、さも有り過ぎた。特別で有りたい、と希求し、古里を後にし、けれど僕はただ、腐乱にものを書き募るひと、でしか無かった。
 閉ざされていた。まだ、何もかも。
 僕には葵を包み込んであげられるだけの素養が無いのだ、とさえ、あの頃、想いこんでしまっていた。
 自分の身の程をわきまえていた。つまり、僕は、ある、それ以上に葵に踏み込んでいくことに臆病になっていたとさえ想える。
 僕には僕なりの殻を持ち、そこから這い出そうとせぬ、ある種の怖さがあった。
 焦れていた。まだ、何もかもに。そう、何ものかに。
 当時の僕は、そんな「弱さを意味無くけ嫌う」いっぱしの偽善者だった。


コメント

  1. 美城丈二 | URL | -

    僕なりの思いを込めた・・・

    “在りし日の恋愛譚”となることでしょう。最終章まで構想は出来上がっております。私なりに少しずつ、書き連ねてまいろうと思います。度々のコメント、誠に嬉しい限りです。丈

  2. mijyu | URL | j2StTDr2

    まだわからないですね^^;

    先が読めませんね、三話まで呼んだけれど、先が見えないと言うか。ちょっと話しが飛んでいるのでしょうか?
    ともかく、次が楽しみです。

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