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2008年09月06日 06:28

掌編稿『堕落DARAKU』

2006年12月09日 07:57

 幼い頃に、大きな橋の上からよく、落ちていく夢を見た。落ちていく瞬間に目覚め、恒に僕は脅威の声を上げた。一陣の風の悪戯か、一気に駆け抜けようとして、けつまずいた勢いで橋げたを飛び超えてしまうのか、友達とふざけていて、突かれた勢いで、落とされるのか、とにかく僕にとって良からぬことが起こって落ちていく。
 ところが、ある時期を境に、そんな夢を見なくなった。見なくなったなと意識したあとからか、何故、落ちていく夢は見るくせに、落ちてからあとの夢は見ないのだろう、という誠にいま、鑑みれば、素朴な疑問を抱いた記憶に行き着いた。
 当時の僕はこう、答えを思案、した。
 「落ちる瞬間に目覚めるからだ」
 そのことを、さも得意げか、姉貴に告げてみると、姉貴はげらげらと嗤いだし、
 「あら?、至極、当たり前の答えね」
 と、のち、相手にもされなかった。
 落ちる瞬間に目覚めるから良いのか、落ちてからでは遅いからか、そもそも、落ちる、この行為自体がいけないのか、いつのまにか、僕のこの問いに対する疑念は霧消してしまった。
 その後も僕は、いくつもの、‘大いなる転落’を繰り返した。だが、その転落は恒に落ちてからも無論、覚めるものでは無かった。
 夢では無い、まるで落ちてからこそ、現実をどう、対応するか、僕は試されているかのように。


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